
忖度なしのフィードバックが、
プロダクトを強くする
エンジニアが上流を制す
開発環境
金山 健
株式会社ライスカレープラス
執行役員 開発部 部長
忖度なしのフィードバックが、
プロダクトを強くする
エンジニアが上流を制す
開発環境
金山 健
株式会社ライスカレープラス
執行役員 開発部 部長
Profile
大学卒業後、IT企業へシステムエンジニアとして入社。大手銀行や大手地方銀行のシステム開発に従事し、堅牢な技術基盤を築く。
その後、株式会社パスチャーにて、Instagram分析ツール「CCX social」の立ち上げをゼロから牽引。同ツールを現在も多くの企業に利用されるサービスへと成長させる。
同社のM&Aに伴い株式会社ライスカレー(現:MUSCAT GROUP)に入社。合流後は複数のプロダクト開発を経験し、2025年7月より現職に就任。
現在は、ライスカレープラスが持つSNSマーケティングの豊富な知見と生成AIを組み合わせた、次世代のプロダクト「SNSマーケターAIHey」の開発や、生成AIを活用した社内DXに従事している。
株式会社MUSCAT GROUPにてリードエンジニアを務め、同時にグループ会社である株式会社ライスカレープラスの執行役員として手腕を振るう金山健。
彼は現在、プロダクトマネジャー(以下、PdM)兼開発エンジニアとして、企画から実装までの全工程をリードしている。
「MUSCAT GROUPのエンジニアにとって、コーディングはおまけのようなもの」。
そう語る金山の言葉の裏には、生成AIの台頭によって劇的に変化した開発環境と、「エンジニア」に求められる役割の変化がありました。MUSCAT GROUPにおいて、「プロダクト開発」はいかにして進められているのか。そして、その中でエンジニアはどのような役割を担っているのか。
本記事では、既存のエンジニアの枠を超えて事業成長を牽引する金山に、MUSCAT GROUPならではの開発体制と、これからの時代に求められるエンジニアの在り方について詳しく話を聞いた。
エンジニア主導でプロダクト開発を完結させる
まずは、現在担当している業務について教えてください。
私は「リードエンジニア」という肩書きを持っていますが、実務としてはPdMや開発エンジニアとして、プロダクト開発の上流工程から深く関わっています。現在は、主に2つのプロダクト開発に携わっています。
1つ目は、自社でD2Cブランドを展開している事業者の方々に向けたプロダクトである『CCX commerce』です。僕はこのプロダクトの実質的なPdMとして、企画から実装まで一貫して携わっています。
D2C事業者の方々は、自社サイトでの販売だけでなく、Amazonや楽天など、複数のECモールへ展開するケースが増えています。そうした多角的な販路管理を支援するためのツールが『CCX commerce』です。 約2年前に開発に着手し、現在はテストフェーズとして、グループ会社内で実際に使用してもらいながらフィードバックを得ています。
2つ目は、エンジニアチームとして現在注力している『SNSマーケターAIHey』です。これは開発エンジニアとして携わっています。生成AIを活用したプロダクトで、最大の特長は、対話を通じて導入企業のビジネスモデルや課題への理解を深め、ブランドに最適化された戦略を提案するパートナーへと成長していくこと。簡単に言えば、「一人のSNSマーケターを採用する」のと同じインパクトが期待できるプロダクトです。

代表の何気ない一言が、開発スタートの合図
それぞれ、どのようなきっかけで開発がスタートしたのでしょうか。
MUSCAT GROUPにおけるプロダクト開発のスタートは、経営層の一言がきっかけになることが多いですね。
たとえば、『CCX commerce』は大久保さん(MUSCAT GROUP 代表取締役 大久保 遼)からの「こういうプロダクトが欲しい」という要望を受け、僕がPdMとなって開発をスタートさせました。D2Cブランド運営を効率化することが大きな目的なので、まずは荻原さん(MUSCAT GROUP 執行役員/株式会社WinC 代表取締役 荻原 萌々佳)や『MiiS』の現場担当者にヒアリングを重ねました。そうして、D2Cブランドが抱える課題の解像度を上げ、要件を定義し、試作品を開発。それを元に大久保さんや荻原さんからフィードバックをもらい、ブラッシュアップするといったサイクルを回し、形にしていきました。
『SNSマーケターAIHey』についても同様で、大久保さんの一言が開発のきっかけです。「新しい技術を取り入れたプロダクトをつくった方が、エンジニアみんなも楽しいだろうから」と、生成AIをつかったプロダクトの開発を提案され、チームのメンバーがPdMとなり開発がスタート。元々は、「AIが自動でSNSの投稿文を生成する」プロダクトだったのですが、辻さん(MUSCAT GROUP 執行役員/株式会社ライスカレープラス 代表取締役 辻馨)がそのプロトタイプを見て、「単なる文章作成だけでなく、戦略立案から実行までを任せられるプロダクトにできるのではないか」とフィードバックをくれたことで『SNSマーケターAIHey』のコンセプトが定まり、本格的な開発がスタートしたんです。
最大の喜びは、「ドメイン知識の探求」にある
一般的に「エンジニア」は、プロダクト開発において「実装」や「テスト」などの下流工程を担う存在ですよね。その枠組みを超えて、かなり上流からプロダクト開発に携わっていると思うのですが、どのようなやりがいを感じていますか。
未知のドメインに関する知識を知れること自体が大きなやりがいになっています。
僕はD2Cブランドの運営に携わったことはないので、そこは未知の領域です。しかし、PdMとしての役割を担う以上、D2Cに関する知識やさまざまなブランドが抱える共通の課題について、深く理解する必要があります。そのプロセスには、これまでの僕が知らなかった事実や知識、発見が山のようにあるんです。その探究自体がとても楽しいんですよね。
さらに、先ほど言ったように、僕は『CCX commerce』のPdMとして、さまざまなメンバーにヒアリングを繰り返していますが、経営層の視点と、実際にツールを使う現場の視点は大きく異なります。時にはその要望が相反することもある。双方を幸せにするための「最適解」は何か。それを考え抜くプロセスは非常に悩ましいものですが、同時にクリエイティブで楽しい時間でもあります。
ヒアリングを繰り返して要件を定めたのち、UI/UXを設計していくわけですが、現在はそこまでのプロセスに非常にやりがいを感じています。今の僕にとって「コードを書くこと」は「おまけ」のような感覚なんです。

「何をつくるのか」を考えるプロセスにやりがいを見出しているわけですね。
そうですね。さらに言えば「やりがい」とは無関係に、エンジニアとしてのキャリアを考えたとき、上流へのコミットは不可欠だと思っています。
生成AIの登場と進化によって、プロダクト開発の内実は大きく変化しました。もちろん人によるチェックは必要ですが、「コードを書く」という行為は段々と人の手から離れていくでしょう。
では、そのときエンジニアには何が求められるのか。もちろん「チェック」のスキルもそうですが、やはり「なぜつくるのか、何をつくるか、価値はあるか、どうやってつくるか」、すなわち上流工程で価値を発揮することが求められると思うんです。
人が「何をつくるか」を考え、AIとの協働によってそれを形にしていく、という体制が一般的になると。
はい。そして、「つくる」上で欠かせないのが、ドメイン知識だと考えています。ことtoBプロダクトに関して言えば、特定の業界、業種、業務の内実と、そこにある課題を正確に理解しなければ、「何をつくるか」は考えられません。現在、私が所属しているライスカレープラスには、私を含めて4人のエンジニアが所属していて、『SNSマーケターAIHey』の開発はそのうちの3人で進めていますが、全員がSNSマーケティングの業務内容そのものを必死に勉強しています。
もし、もう少し規模が大きなチームで、たとえば5〜6人のメンバーがいるとすると、そのうち1〜2人は「コードを書くだけ」という体制もあり得るでしょう。そういった意味で、現在の体制は、エンジニアがドメイン知識を深め、上流にコミットしやすい体制だと考えています。

少人数体制だからこそ、チームとしてこれからの時代に即した動きがしやすく、個人としても今後につながる経験が積みやすいということですね。
はい。メンバー全員がドメイン知識を探求し、現場の課題を肌感覚で理解した上で開発に臨む。その過程で得た経験は、また別のプロダクトをつくる際にも必ず活きる、エンジニアとしての普遍的な資産になると確信しています。
不断のドッグフーディングで、プロダクトの質は磨かれる
上流からプロダクト開発に携わる上では、身近に「ユーザー」がいる環境であることも、大きなメリットになりそうですね。
そうですね。MUSCAT GROUPという環境でエンジニアとして働く最大のメリットは、強力な「ドッグフーディング(自社製品を自ら使用すること)」の環境があることです。『CCX commerce』は、『MiiS』のようなブランドを対象にしたプロダクトですし、『SNSマーケターAIHey』もライスカレープラスが提供するSNSマーケティングでの活用を念頭に置いたプロダクトですからね。
一般的な受託系toBプロダクト開発では、お客様との間に営業担当が入るため、フィードバックが間接的になったり、ある種の「建前」が含まれたりすることが少なくありません。でも、社内の仲間は違います。関係が深いからこそ、「ここが使いにくい」「もっとこうしてほしい」と、忖度なしのフィードバックをビシバシとくれる。
時には厳しい言葉をもらうこともありますが、それは彼らが「仲間だからこそ」、そして「よりよいものをつくりたいからこそ」の全力のフィードバックなのだと理解しています。 忌憚なき意見をもらい、そのフィードバックを元に改善のサイクルを高速で回せることは、プロダクトの品質を高める上でプラスでしかありません。

「ユーザー」が近いということは、開発者側のモチベーション喚起にもつながりそうですね。
そう思います。特にtoBプロダクトの場合、自分たちがつくったものが本当に喜ばれているのか、手触り感が失われやすい側面があります。しかし私たちの場合は、身近に「ユーザー」がいるので、その反応をダイレクトに感じることができます。「自分たちの仕事がユーザーを喜ばせている」という実感は、エンジニアとして何よりのモチベーションになります。
生成AIを「使いこなす」だけではなく、「使いこなしてもらう」ことで会社の成長に貢献する
プロダクトづくりの上流から一貫して携わりたいと思うエンジニアにとっては、打ってつけの環境があるといえそうですね。
そう思います。先ほども言ったように、これからの時代、大きな規模のエンジニアチームを抱える必要性は薄れていくと考えています。生成AIがあれば、実装のリソースは最小限で済みますから。
では、エンジニアは何にリソースを割くべきか。「上流工程」も、もちろんその一つです。ただ、会社としての成長を加速させるためにより重要なのは、エンジニアが「非エンジニアへの技術のインストール」に注力することだと思っています。

非エンジニアが自らの手で何かをつくれるよう、エンジニアがサポートをするということでしょうか。
はい。生成AIによって、何らかのツールをつくるハードルは大きく下がりました。たとえば、ライスカレープラスの広告事業部では、事業部側のメンバーが生成AIを活用して広告シミュレーションツールを作成し、実務で活用しています。私たちエンジニアは、定期的に勉強会を開き、彼らが自分たちでさまざまなツールをつくれるようサポートしています。
今後、エンジニアに求められるのは「どのようなコンセプトのプロダクトを、どのような道筋でつくるか」を考える能力、そして、自分とは異なる立場や意見を持つ人とも、リスペクトを持ってコミュニケーションする能力なのだと思っています。そういった能力がなければ、さまざまな役割、業務を担う人に対するヒアリングを通してドメイン知識を深めることはできませんし、自らが持つ知識や技術をさまざまな立場にある人にインストールできませんからね。そうしたスキルを持つ人材こそが、これからの開発現場で重宝されるはずです。
技術で組織の「QOL」を向上させる
では、最後に今後の展望をお聞かせください。
まずは、現在リソースを集中させ、2025年10月に一般公開した『SNSマーケターAIHey』でしっかりと売上をつくることが直近の目標です。早期の収益化を目指して、機能の拡張・改善を進めています。
そして、その先に見据えているのは、「売上」だけではありません。 というのも、私はMUSCAT GROUPだけに最適化されたプロダクトの開発や、生成AI活用の推進を形にしたいと考えているんです。他社への販売を目的とせず、ライスカレープラスやWinCといったグループ各社の成長に特化したツールの開発をする。あらゆる業務をツールと生成AIを活用し徹底的に効率化し、ひいてはメンバー全員のQOL(生活の質)向上に直接的に貢献したい。それが私の描いている次のステージです。
技術の力で、効率的に高い成果を残せる組織をつくりたいということですね。
はい。これまでも業務効率化ツールはつくってきましたが、組織への貢献実感としては「間接的に売上に貢献できているのだろうな」といった、主観的かつ定性的な感覚を得るに留まっています。今後はそうではなく、「エンジニアチームのおかげで、この業務にかかっていた時間がこれくらい短縮された」「これくらいの売上が創出できた」と、自分を含め多くの仲間が明確にその効果を実感できるツールをつくり上げたいです。
売上を生み出すためのプロダクトと、最も近くにいる仲間の働き方の変革を同時に追求すること。それもまた、自由度高く、さまざまなプロダクトづくりにチャレンジできる、MUSCAT GROUPのエンジニアだからこそできることなのかなと思っています。


Daily
Schedule
1日のスケジュール
-
10:00
出社
今日以降のスケジュール、Todo確認やメールチェックなど
-
10:15
システム開発
要件定義や設計に時間を使い、コーディングは生成AIで
-
11:00
ミーティング参加
事業部やエンジニアチームとのミーティング
-
13:00
ランチ
基本的に同じ飲食店でご飯食べています
-
14:00
自席で業務
システム開発やDX推進業務
-
20:00
終業
普段は20:00-21:00の間に終業しています

